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私がこの仕事をする理由

私が、整理整頓好きになったわけ

小さい頃から、気がついたら部屋の整理整頓をしていました。両親ともに、片づけが苦手でしたので、親の影響という訳では無いようです(笑) 子供の時の記憶で鮮明に覚えているのは、片づいていない我が家を恥ずかしいと思っていたこと。多分、いつも一緒に遊んでいた友人の家が、きちんと整理整頓されていたからだと思います。「○○ちゃんの家はいつ行ってもキレイだな」と、子供心に羨ましくて仕方が無かった。
しかし、我が家は自営業のため、両親は朝早くから夜遅くまでスーパーの経営で大忙し。「散らかった我が家は恥ずかしい」という思いと同時に、子供心に「お父さんもお母さんもこんなに忙しいのに、片づけなんて出来っこない」そう感じていたのだと思います。

小さな商売をしている家庭の多くがそうであるように、両親は自分たちの仕事で精一杯。子育てはかなり放任主義でした。とりあえず、人様に迷惑をかけず、病気や怪我をしなければ何でもOK。だから、日常的に両親が子供たちの話に耳を傾けるなんて、ほとんどありませんでした。ただ運が良かったことに、同級生には同じように商売人の子が多く、自分だけが構ってもらえないとは思わずに済みました。

とはいえ、やはり子供心としては、親の関心を引きたいのが事実。毎日、商売と最低限の家事や育児に追われている母が、どんな時でも喜んでくれたのは、子供が手伝いをしてくれること。私が食事の後片づけや、オモチャや絵本を率先して片づけたとき「あら、キレイになったわね。お母さん助かるわ」と笑顔で言ってくれました。この何気ない一言が、「お母さん嬉しそう。片づけって褒められるんだ。」「そうか、友達を呼ぶのが恥ずかしいなら、自分で片付ければ良いんだ」と思った瞬間でした。


私がこの仕事を始めた経緯

子供時代、住宅の間取りやインテリアに関心が高かった私は、将来のことを考えたとき、当然のように住宅に関わる道を選びました。大学で住宅設計を学び、そのままハウスメーカーの設計課に入社。しかし「これが私のやりたかった仕事だ」と思ったのも束の間、子供時代に憧れていたほど設計の仕事は楽しいとは思えませんでした。
 もちろん、住宅のことを考えるのも、お客様との打ち合わせも好きでした。でも「仕事ってこんなものなのかなあ。」そんな考えがよぎり始めていた矢先です。住宅設計のクライアントさんから、「住みはじめたら、最初に想定していたようには、なかなか片づかない」と言われたのです。このことがきっかけで、人様のお家を片付けることになりました。
「こうしたら片づきますよ」とモノの配置を変える。たったそれだけで「悩みが解消した」という声すらあり、「このようなサービスを望む方は、もしかしてたくさんいらっしゃるのでは?」と思い立ちました。そこから自己流で、試行錯誤しながら片づけサービスがスタートしていったのです。


順調だったスタートアップ期

サービスをはじめた頃は、自分が好きで得意なスキルを使うことで、多くのお客
さまに喜んでいただき、天にも昇る気持ちでした。片づけが長年の悩みだった方には、
私が普段、自宅で試している整理整頓のスキルが非常に好評でした。多くの方から、
「こんなノウハウがあるなんて、目からウロコでした」
「モノを家事動線にあわせて配置してもらい、家事の効率が3倍アップしました」
「TOMOさんに片づけてもらって以来、何とかスッキリした状態を保っています。
おうちが大好きになりました」など、最大限の賛辞をいただきました。私も得意に
なり、「どうやったら、もっとお客さまに喜んでいただけるだろう」と、サービスの
質を高めるために、商品知識や収納スキルアップの研究を深めていきました。


最初の転機

整理整頓の仕事が楽しくなるにつれて、設計よりも片づけの依頼が増えてきました。仕事がどんどん増えてくると、当然のことながら上手くいかない事例も増えてきます。最初の壁にぶつかったのです。

私は、私生活でも「シンプルライフ派」であり、持ち物の量が少なめです。それに対して、お客さまの多くは、私から見て部屋の大きさに比してモノの量が多く、収納からモノがあふれかえっていました。
明らかに、もう二度と着ないであろう服や、今後使う可能性が極めて低いモノまで、手放せない方が多かったのです。私は、「なぜ、使わないと分かっていて手放せないのだろう」と不思議に思いました。そこから「所有しないことによる解放感」を、お客さまに知って
いただく、という試みを開始したのです。

この試みは当初、思うようにはいきませんでした。
まず、「捨てましょう」とお客さまを説得しても、意味がないことはすぐ分かりました。
人から「捨てろ」と言われると、言われた方は「何でも捨てられてしまうのでは?」と恐れを抱いてしまい、心を閉ざしてしまう可能性が高いからです。

逆に、「モノなんて、必要になったら買えばいいんですよね」と、家中のモノを一気に
半減させた方もいらっしゃいました。その時はかなりスッキリしたのですが、数ヵ月後、
「モノが減ったら、調子に乗って買い物するようになったんです。あっという間に、元の散らかった部屋に逆戻りしてしまいました」と連絡が入りました。

この結果は、私の目指す方向とは、明らかに異なっていました。
その後の方向性に悩んでいた頃、「プロフェッショナル・オーガナイザー」という職業が
アメリカにあることを知りました。この出会いが後日、私のサービスの質を飛躍的に
高めることになります。


プロフェッショナル・オーガナイザー

プロフェッショナル・オーガナイザーは一見、日本の収納アドバイザーと似た職業です。
しかし収納グッズの使い方など、ノウハウ面の指導はもとより、クライアントがどのような人生を望んでいるのかを詳細にカウンセリングし、クライアントにとって最良の
道を同じ目線で相談に乗っていくビジネスだったのです。モノとの付き合い方は人生を
どう生きるかに大きく関係している、と常々感じていた私は、彼らの考え方にとても共感
しました。

私は、欲しい情報をすぐ手に入れたいタイプです。まだ日本には情報が少なかったので、
アメリカのオーガナイザーたちが書いた本や、DVDを取り寄せ、夢中になって調べ
ました。多くは英語で書かれていましたが、自分の専門のことなので、何とかスタッフ
と手分けして解読しました。良質の本や情報を求め渡米し、オーガナイザーが主催する
いくつものセミナーを受講して、彼らの考え方やノウハウを吸収していきました。

オーガナイザービジネスについて学びが深くなるにつれ、私はこの仕事の本質が、
2点に集約される、と気づきました。それはまず、

「モノを家事動線上、使いやすい位置に配置して、使い勝手を良くすること」
そして、
「多くのモノを抱えて身動きがとれない状態のお客さまに、モノを手放して身軽になる
ライフスタイルを提案し、実現への具体的なプランを作ってサポートすること」

です。

前者は、収納の本を読み、ある程度現場を経験すれば分かることです。しかし後者は、
人の心を深く理解できなければ、スタートラインにすら立つことが出来ません。
100人いれば100通りの散らかり方があり、そこから抜け出すルートやペースも
人それぞれ。その人の生き方や考え方、心の動きを理解しなければ、ライフスタイルの
提案をすることが出来ないのです。


オーガナイザーとして大切に思っていること

「モノが多いから片づかない」。それは片づけの苦手なクライアントさんだって、頭では十分に理解しています。しかし、どうしてもそれが出来ない。出来ない事で、自分で自分を責めたり、人に指摘されることで逆に怒ってしまったりします。本当に悩んでいる人には、「何が正しいか」「何が間違っているか」という判断より、まずは「これまで大変でしたよね」という「共感」が必要なのです。

ただしこの「共感」、知識で分かっていてもいざ現場に入るとなかなか出来ない(笑)
実は、「共感」することが上手く出来ないと、相手と「信頼関係」を築くことがスムーズにできないのです。
うっかりすると、クライアントがオーガナイザーに過度に期待する「依存関係」となってしまい、
対等で健康的な人間関係ではなくなってしまいます。

そもそもオーガナイザーの仕事は、クライアントさんのプライベートエリアに入り込む仕事です。なにはさておき信頼関係が一番大切。信頼関係がきちんと結べると、その後、モノの処分や、収納方法の変更といった、相手にとって良いと思える提案事項が、スムーズに受け入れてもらえます。そうすると、お互いに現場でのストレスが減りますし、目に見えて室内の様子が変わってきますので、達成感が出てきます。そして、クライアント、オーガナイザー、双方がますますやる気になる、良い循環の始まりです。


モノを整理すると、人生がかわる

人は生まれた瞬間から、様々な知識やモノを取り入れることで成長します。特に子供時代は、学んだり、習得したりというインプットの作業がとても大切です。しかし、ある時期を過ぎると、人に分け与えるとか、余分なモノを手放すといったアウトプットの時期が必要になります。このアウトプットを経験することで、自分にとって大切なモノは何か?執着してしまい、なかなか手放せないモノは何か?と、自分自身を知ることができます。そのバランスが上手にコントロールできることが、いわゆる大人になるという事だと思います。

古今東西の偉人や哲学者達が、「足し算は容易だが、引き算は難しい」といった内容のことを言っています。どうやら、大人になるためには、様々な「卒業」や「別れ」を経験しなければならないようです。その対象として「モノ」はとても入りやすいツールです。

確かに、モノは買う時よりも捨てる時の方が大きな決心がいります。ですが、人間関係や知識を手放すのはもっと大変です。夫婦は、結婚する時よりも別れる時の方が数倍大変だといいます。知識も、学校やセミナーに通っているうちは充実感があり、聞いているだけで良いから気楽です。しかし、人に教えるとなると、思っているような反応が返って来ないことも多くへこみます(笑)

自分の人生をより良くしたいと考えた時、通過点として、人は必ず一瞬の痛みを感じないといけないようです。整理整頓には人生を変えるパワーがあります。通過する際にはちょっと痛みがありますが、その先に待っているのは、その痛み以上に大きな幸せだと思っています。

多くの現場で、お客様が変わっていく姿を目にするたびに、「人ってすごいなあ」「人って素晴らしいなあ」と感動します。本気で片づけに取り組む意味を、多くの人に知っていただきたいと思いながら、日々お仕事させて頂いています。